海水に含まれる酸素が不足することで、海生生物が住めなくなる”デッドゾーン”が全世界的に増加しています。
それにより、今後、地球の生態系に大きな影響を及ぼす可能性があると、研究によって明らかになりました。
この研究を行っているアメリカのスミソニアン環境センターの研究チームは、英国のガーディアン紙を通じて、海水中に酸素が溶け出し、酸素濃度がゼロ水準に達した海域が、1950年に比べて4倍増加し、海生生物が生存できないデッドゾーンは10倍以上拡大されたと発表しました。
(▲研究チームが調査した酸素濃度が低い海岸と海域)
溶存酸素量が減少する原因には、いくつかの有力な説があります。
そのひとつが海水温度の上昇です。
特に、赤道付近の海水では、酸素量が減少傾向にあると言います。
科学雑誌サイエンス誌に発表された研究論文は、この問題を包括的に分析し、
”地球の歴史上起こった、主要生物の絶滅は気候温暖化と海洋の酸素不足に深く関連している”
と、科学者たちは警告しています。
つまり、世界中の海にデッドゾーンが増えることは、人類の生存に致命的な影響を及ぼすと言えるのです。
さらに、海洋の酸素不足がもっとも影響を与えるのは、漁業関連分野です。
魚が生息できなくなると、漁獲量は減少します。
全世界に3億5千万人いると言われる漁業従事者への生活に大きなダメージを与えるでしょう。
もちろん、人間の食生活サイクルや自然生態系も影響を受けることとなります。
今回の調査で明らかになった海のデッドゾーンは、500か所以上に達します。これは、約70年前の1950年の50か所をはるかに上回る結果です。
地球温暖化による海水温度上昇は、魚の住めない海を増やし続けて、人類や地球の存続を脅かしています。